PC に複数の IP Messenger をインストール
〜 Windows でもローカルチャットを 〜
2018-11-11 作成 福島
TOP > tips > ipmsg-local
「Unix (Linux) に write や talk があるように、Windows でもローカルチャットがあれば良いのに」
と、思ったことはありませんか?
・・・ないですかそうですか。でも、やっちゃいます。

Windows7, 8, 10 には msg.exe というコマンドが標準で装備されますが、
これは送信の GUI がないとか、RPC を許可しなければならないとか、制約が多すぎます。

ここでは、IP Messenger を利用してローカルチャット環境を構築します。

制限事項
(1) 一つの NIC に複数の IP アドレスを付与して構築するため、固定アドレスの NIC が 1 つ以上必要
Windows は DHCP の NIC に複数の IP アドレスを付与することができないので、DHCP だけの PC に本稿を適用することはできません。
(2) 一時的に管理者の権限が必要
IP Messenger のインストール中に管理者の権限が必要になります。
(ファイアウォールの調整らしい)

0. インストール要件
種類バージョン備考
WindowsWindows10 (1809)本稿記述時の最新版。
Windows とネットワークプロパティが対応していれば、
他バージョンでも実現可能です。
アプリケーションIP Messenger v4.98本稿記述時の最新版

アカウントIP アドレスネットマスク備考
user1192.168.56.10255.255.255.0PC に Windows をインストールしたときのもの。
user2192.168.56.11*1255.255.255.0Windows の標準ユーザ。管理者でも構いません。
このアカウントを予め作成し、リモートデスクトップを許可しておいてください
IP アドレスとネットマスクは、項 1 で設定します。
VirtualBox に Windows を構築しているため、192.168.56.0/24 を使用しています。

1. ネットワークの調査と設定
1-1. 空きアドレスを調査
IP Messenger に割り当てる IP アドレスが使用されていないことを確認する。
※一時的に使われていないアドレスが隠れている可能性があるので、LAN につながっている機器はすべて起動しておくこと。
 >_ Windows PowerShell
Windows PowerShell
Copyright (C) Microsoft Corporation. All rights reserved.                

PS C:\> ping 192.168.56.11

192.168.56.11 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
要求がタイムアウトしました。
要求がタイムアウトしました。
要求がタイムアウトしました。
要求がタイムアウトしました。

192.168.56.11 の ping 統計:
    パケット数: 送信 = 4、受信 = 0、損失 = 4 (100% の損失)、
PS C:\> arp -a

インターフェイス: 192.168.56.10 --- 0xa
  インターネット アドレス 物理アドレス           種類
  192.168.56.1          0a-00-27-00-00-10     動的
  192.168.56.100        08-00-27-c6-0a-34     動的
  192.168.56.255        ff-ff-ff-ff-ff-ff     静的
  224.0.0.22            01-00-5e-00-00-16     静的
  224.0.0.252           01-00-5e-00-00-fc     静的
  239.255.255.250       01-00-5e-7f-ff-fa     静的
  255.255.255.255       ff-ff-ff-ff-ff-ff     静的

インターフェイス: 10.0.2.15 --- 0xd
  インターネット アドレス 物理アドレス           種類
  10.0.2.2              52-54-00-12-35-02     動的
  10.0.2.255            ff-ff-ff-ff-ff-ff     静的
  224.0.0.22            01-00-5e-00-00-16     静的
  224.0.0.252           01-00-5e-00-00-fc     静的
  239.255.255.250       01-00-5e-7f-ff-fa     静的
  255.255.255.255       ff-ff-ff-ff-ff-ff     静的
PS C:\>
*1 が含まれていないことが分かる↑
1-2. 所属ネットワークを調査
IP Messenger に割り当てるネットワークが属すインターフェイスを確認する。
 >_ Windows PowerShell
Windows PowerShell
Copyright (C) Microsoft Corporation. All rights reserved.                

PS C:\> ipconfig

Windows IP 構成


イーサネット アダプター ローカル エリア接続:

   接続固有の DNS サフィックス . . . . .: example.jp
   リンクローカル IPv6 アドレス. . . . .: fe80::4df2:94e7:31d3:1d63%13
   IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 10.0.2.15
   サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
   デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .: 10.0.2.2

イーサネット アダプター イーサネット:        ←これ

   接続固有の DNS サフィックス . . . . .:
   リンクローカル IPv6 アドレス. . . . .: fe80::d08c:a4e2:ba91:9b8f%10
   IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.56.10  ←これ
   サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
   デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .:
PS C:\>
*1 が属すべきは「イーサネット:」であることが分かる↑
1-3. IP アドレスを追加する
1-3-1. 上記 1-2 で調査したアダプターのプロパティを開く。


1-3-2. 「インターネット プロトコル バージョン4(TCP/IPv4)」を選択して ボタンをクリックする。


1-3-3. 「インターネット プロトコル バージョン4(TCP/IPv4)のプロパティ」画面で ボタンをクリックする。


1-3-4. 「TCP/IP 詳細設定」画面で ボタンをクリックする。


1-3-5. 「TCP/IP アドレス」画面で、*1 の IP アドレスとネットマスクを追加する。

1-4. 追加された IP アドレスを確認
 >_ Windows PowerShell
Windows PowerShell
Copyright (C) Microsoft Corporation. All rights reserved.                

PS C:\> ipconfig

Windows IP 構成


イーサネット アダプター ローカル エリア接続:

   接続固有の DNS サフィックス . . . . .: example.jp
   リンクローカル IPv6 アドレス. . . . .: fe80::4df2:94e7:31d3:1d63%13
   IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 10.0.2.15
   サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
   デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .: 10.0.2.2

イーサネット アダプター イーサネット:

   接続固有の DNS サフィックス . . . . .:
   リンクローカル IPv6 アドレス. . . . .: fe80::d08c:a4e2:ba91:9b8f%10
   IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.56.10
   サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
   IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.56.11    *1
   サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
   デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .: 192.168.56.1

Tunnel adapter Teredo Tunneling Pseudo-Interface:

   接続固有の DNS サフィックス . . . . .:
   IPv6 アドレス . . . . . . . . . . . .: 2001:0:9d38:953c:1034:7cd:f5ff:fdf0
   リンクローカル IPv6 アドレス. . . . .: fe80::1034:7cd:f5ff:fdf0%6
   デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .: ::
PS C:\>
*1 が追加された↑
2. IP Messenger をそれぞれにインストール
インストール後の設定項目
アカウントスタートアップのフォルダバインドのオプション
user1C:\Users\user1\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Startup\ /NIC 192.168.56.10
user2C:\Users\user2\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Startup\ /NIC 192.168.56.11

user1, user2 で実施することはほぼ同じなので、ここでは user1 で説明します。

2-1. user1 でログオンする
違うアカウントでログオンしていたら、user1 に切り替える。
2-2. user1 で IP Messenger をインストールする
2-2-1. IP Messenger をダウンロードする。
窓の杜から IP Messenger のインストーラ (ipmsg498_installer.exe) をダウンロードする。
(本家からダウンロードしようとすると、窓の杜とベクターを案内される)

2-2-2. ダウンロードしたインストーラ ipmsg498_installer.exe をダブルクリックして起動する。
ボタンをクリックする。

ボタンをクリックする。

管理者、標準ユーザにより、下記いずれかが表示されるので ボタンをクリックする。
※現在ログインしているアカウントが標準ユーザ (user2) の場合は、管理者のパスワードを記入してから ボタンをクリックする。



プログレスバーがいっぱいになると、自動的にウィンドウが閉じるので、このまましばらく待つ。
2-2-3. IP Messenger を終了させる。
インストール直後は IP Messenger が自動的に起動するので、これをタスクトレイから終了させる。

2-2-4. スタートアップスクリプトを変更する。
エクスプローラでスタートアップのフォルダ
    C:\Users\user1\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Startup\
を開き、その中の
    「IPMSG for Win」
を右クリックし、「プロパティ」を選択する。


「リンク先(T)」にバインドのオプションを追加して ボタンをクリックする。
C:\Users\user1\AppData\Local\IPMsg\IPMsg.exe /NIC 192.168.56.10 ← これを追加

デスクトップにある IP Messenger のショートカットも同様に修正する。
2-2-5. IP Messenger が指定の IP アドレスに紐づいたことを確認する。
2-2-5-1. Windows からログオフし、同一アカウントで再度ログオンする。
→上記 2-2-4 で修正したスタートアップスクリプトが動作し、IP Messenger が指定の IP アドレスで自動的に起動する。
2-2-5-2. タスクトレイの IP Messenger のアイコンを右クリックし、「設定...」を選択する。

2-2-5-3. 「IP Messenger設定」画面で左ペインの「マスター設定」を選択すると右ペインに表示される「このPCのIPアドレス」が、指定と合っているか確認する。

2-3. 上記 2-1 ~ 2-2 を user2 として繰り返す。
そのとき、
user1 を user2 と読み替える。
192.168.56.10 を 192.168.56.11 と読み替える。
としてください。
3. メッセージ送受信テスト
user1, user2 がともにログオンした状態でメッセージを送受信する。


ログオンしていないと送信リストに自分が表示されないので注意。